SNS、傷病休暇と懲戒解雇 ― ブラジルで企業と従業員が注意すべきポイント

SNSは、今や私たちの日常生活の一部となっており、職場においても身近な存在となっています。

しかし、勤務時間中にSNSへ動画を投稿することや、医師の診断書による休職・欠勤中に特定の活動を行うことなど、一見すると通常の行動であっても、雇用関係に影響を及ぼす可能性があります。

ただし、SNSへの投稿や休職・欠勤中の外出があったからといって、必ずしも直ちに懲戒解雇となるわけではありません。

企業と従業員の双方にとって、この点を正しく理解しておくことが重要です。

ブラジルの法律では懲戒解雇についてどのように定められているのでしょうか?

懲戒解雇は、ブラジル労働法統合令(CLT)第482条に定められています。

法律で定められている事由には、例えば、以下のようなものがあります。

  • 不正行為や背信行為
  • 職務上の不正や不適切な行為
  • 業務上の注意義務違反や過失
  • 会社の機密情報の漏えい
  • 職場の規律違反
  • 業務上の指示・命令への違反
  • 法律で定められた状況において、他人の名誉や信用を傷つける行為

懲戒解雇は、従業員に対して科すことのできる最も重い処分です。

そのため、実際に懲戒解雇が認められるかどうかについては、個々の事案における具体的な事実関係や証拠を踏まえて慎重に判断する必要があります。

傷病休暇中は外出してはいけないのでしょうか?

特に注意が必要なのが、健康上の理由による休職・欠勤です。

医師の診断書によって仕事を休んでいるからといって、それだけで従業員が外出を禁止されるわけではありません。

重要なのは、従業員の行動が、その健康状態や休職・欠勤の目的と矛盾していないかどうかという点です。

実際に、ブラジルの労働裁判所では、休職・欠勤中の従業員の行動が、会社に提出した休職・欠勤の理由と一致していないとして判断された事例もあります。

本記事の基礎資料で紹介されている最近の判決では、第2地域労働裁判所が、医師の診断書を提出した従業員が、その同日にイベントへ参加している様子を撮影されていた事案について、懲戒解雇を有効と認めました。

裁判所は、この事案における状況から、雇用関係に必要とされる信頼関係を損なうほど重大な事情が認められると判断しました。

ただし、この判決によって、すべてのケースに適用される自動的なルールが設けられたわけではありません。

それぞれの事案について、具体的な状況や確認できる証拠を踏まえて判断することが重要です。

勤務時間中のSNS利用について

もう一つ重要な注意点が、勤務時間中のSNS利用です。

勤務時間中に動画を撮影したり、SNSへ投稿したりしたという事実だけで、直ちにCLT上の懲戒解雇の事由となるわけではありません。

しかし、具体的な状況によっては、その行為が雇用関係上の問題につながる可能性があります。

考慮すべき点としては、例えば以下が挙げられます。

  • 会社の社内規定
  • 従業員に対して出された指示
  • 勤務時間の利用状況
  • 会社の機密情報が漏えいしていないか
  • 職場環境に悪影響を及ぼす可能性がないか

そのため、携帯電話、SNS、画像、会社情報の取り扱いについて、明確な社内規定を定めておくことが、企業と従業員の双方にとって重要です。

会社の機密情報には特に注意が必要です

職場で撮影した写真や動画については、情報管理の観点からも注意が必要です。

CLTでは、会社の機密情報を漏えいする行為も、懲戒解雇の事由となり得る行為の一つとして定められています。

そのため、写真や動画に以下のような情報が映り込んでいる場合には、十分な注意が必要です。

  • 書類
  • 社内情報
  • 顧客情報
  • 業務上の手順
  • システム
  • その他、外部に公開すべきではない会社情報

SNSでは写真や動画を簡単かつ迅速に公開・共有できるため、職場で撮影を行う際には特に注意する必要があります。

懲戒解雇が自動的に認められるわけではありません

最も重要なポイントは、不適切な行為があったからといって、すべてのケースで自動的に懲戒解雇となるわけではないということです。

懲戒解雇を適用するかどうかは、具体的な事実関係、行為の重大性、そして確認できる証拠を踏まえて判断する必要があります。

また、状況によっては、処分の相当性、従業員のこれまでの懲戒履歴、過去に行われた懲戒処分なども考慮する必要があります。

そのため、企業は性急に判断することを避け、最も重い懲戒処分を行う前に、それぞれの事案を慎重に確認・検討することが重要です。

従業員側も、勤務時間中であっても、医師の診断書による休職・欠勤中であっても、自分の職務上の義務を意識し、SNSへの投稿内容に十分注意する必要があります。

企業にとっては、明確な社内規定を整備し、従業員に適切な指示や説明を行うこと、そして問題が発生した場合には、その事実を適切に記録しておくことが重要です。

SNSは私たちの日常生活の一部ですが、場合によっては、SNS上での行動が雇用関係に影響を及ぼす可能性があります。

ブラジルで事業を展開する日本企業をORGATECがサポートします

ブラジルで事業を展開する日本企業にとって、ブラジル特有のビジネス環境への対応に加え、法制度、企業実務、言語、ビジネス文化の違いへの対応も重要となります。

ORGATECは、ブラジルで事業を展開する日本企業へのサービスを専門としており、会計業務をはじめ、ブラジルでの事業運営に関するさまざまなサポートを提供しています。 ブラジルでの事業運営については、ぜひORGATECにご相談ください。