ブラジル会計における引当金とは?偶発債務・偶発資産との違いを解説

ブラジルで事業を行う企業にとって、**引当金(Provisão Contábil)**は重要な会計項目の一つです。

特に、将来の支払いや訴訟などに関するリスクがある場合、それを会計上認識する必要があるのか、それとも注記として開示する必要があるのかを適切に判断することが重要です。

本記事では、現在のブラジル会計基準に基づき、引当金、偶発債務、偶発資産の基本的な考え方について解説します。

引当金(Provisão Contábil)とは?

引当金とは、支払時期または金額が未確定である企業の義務を表すものです。

つまり、すでに存在している義務ではあるものの、正確な金額や支払時期を確定するためには、一定の見積りが必要となるものを指します。

なお、日常業務では、有給休暇やブラジルの13か月給与に関する費用も「引当」と呼ばれることがありますが、厳密には、本記事で説明する引当金とは性質が異なります。

引当金を認識するための3つの条件

引当金を会計上認識するためには、次の3つの条件をすべて満たす必要があります

  1. 過去の事象によって発生した現在の義務が存在すること
  2. その義務を履行するために、経済的資源が流出する可能性が高いこと
  3. 義務の金額を合理的に見積もることができること

これらの条件のうち、一つでも満たされない場合には、会計上、引当金を認識することはできません。

代表的な例として、敗訴の可能性が高いと判断された労務訴訟や税務訴訟があります。

この場合、会社は将来支払うと見込まれる金額について、最善の見積りに基づき引当金を計上します。

引当金と買掛金・未払金の違い

引当金は、買掛金・未払金とは異なります

買掛金や未払金は、支払金額や支払期限が明確に定まっています。

一方、引当金には不確実性が伴います。

この不確実性が、引当金の重要な特徴の一つです。

引当金と偶発債務の違い

引当金と**偶発債務(Passivo Contingente)**の違いを理解することも重要です。

引当金は、損失発生の可能性が高く、必要な認識要件を満たしている場合に会計上認識されます。

一方、偶発債務は会計上認識されません。

損失発生の可能性が**「可能性あり(possível)」**と判断される場合には、財務諸表の注記として開示されます。

また、損失発生の可能性が低い**「リモート(remota)」**の場合には、通常、開示も行われません。

整理すると、以下のようになります。

状況会計上の取扱い
損失可能性が高く、認識要件を満たす場合引当金を計上
損失可能性が「可能性あり」の場合会計上認識せず、注記として開示
損失可能性が「リモート」の場合通常は開示不要

偶発資産とは

**偶発資産(Ativos Contingentes)**についても注意が必要です。

偶発資産は、その実現がほぼ確実になるまでは会計上認識してはいけません

そのため、実現がまだ不確実な経済的利益を早期に会計上認識することはできません。

引当金の金額はどのように算定するのか?

引当金を測定する際には、企業はリスクや不確実性を考慮したうえで、最善の見積りを使用する必要があります。

また、必要に応じて、将来支払額の現在価値も考慮します。

さらに、計上した引当金は定期的に見直す必要があります。

義務の金額が増加した場合には引当金を調整し、反対に、経済的資源が流出する可能性がなくなった場合には、引当金を取り崩します。

将来の損失なら何でも引当金にできるわけではない

将来予想される損失や、経営陣の単なる意向だけを理由として、引当金を計上することはできません。

引当金の認識には、**すでに発生した事象、つまり「発生事実」**が必要です。

また、不利な契約にも注意が必要です。

これは、契約を履行するために必要となるコストが、その契約から得られる利益を上回る契約を指します。

このような場合には、引当金の計上が必要になることがあります。

ブラジルで事業を行う日系企業にとっての重要性

引当金、偶発債務、偶発資産を適切に分類することは、企業が抱える義務やリスクを財務諸表に適切に反映するうえで重要です。

特にブラジルで事業を行う日系企業にとっては、ブラジル現地法人に適用される会計上の取扱いを理解し、訴訟や将来の支払いリスクなどを適切に把握することが重要となります。

ORGATECは、ブラジルで事業を行う日系企業向けの会計サービスを専門としております。

引当金をはじめ、ブラジル会計や税務に関するお困りごとがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。