今回のニュースレターでは、ブラジル企業において外国人を雇用する際の主要な注意点について皆さんと共有していきます。
この雇用プロセスは、外資系複合企業の子会社でよく見られるものであり、現地法人設立初期、または経営基盤が既に確立されている企業を問わずに、子会社の経営を任せるため親会社が駐在員を現地へ派遣したり、オペレーション業務やアドミン業務を勤めるために従業員を派遣する場合をさします。
1. ブラジル現地勤務目的で会社は外国人労働者を雇用することは可能でしょうか。
可能です。駐在員の雇用形態は主に次の2つが挙げられます。
1)管理職、取締役、マネージャー(Pro-Labore)など、会社の経営管理を担うために駐在員を派遣する形態。この場合、この方はビジネス運営の責任者となり、また会社の代表者として署名をします。
2)通常の雇用契約による雇用形態。この場合、駐在員は上記のような管理職ではなく、ブラジル現地法人の従業員(CLT)となります。
2. この2つの駐在員の雇用形態(管理職 or 従業員)には違いがありますか。
はい。それぞれに適用する異なった規制があります。
3. 外国人労働者の雇用にはどのような手続きが必要ですか。
まず、現地受け入れ企業は、就労許可をブラジル労働省と入国管理局総合調整課(Coordination of Immigration Department)へ申請し、当該外国人労働者は、外務省へ就労ビザの申請する必要があります。
また、従業員としてブラジルへ働きに来る外国人労働者は、労働契約書のほか、RNM(国家移住登録証:Registro Nacional Migratório)、CPF(納税者番号)、労働手帳を取得する必要があります。
4. 外国人労働者の権利と義務についてはどのようなものがありますか。
ブラジル人労働者へ法律で保障されているものと同様の権利と義務が適応されます。
5. 法律で保証されている労働者の権利とはどのようなものが挙げられますか?
労働者には次のような権利があります。
- 13ヶ月特別給与
- 年次有給休暇
- 勤続年数保証基金
- 週休手当
- 所定労働時間
- その他、食事手当、ボーナス、健康保険などの手当てを会社が提供する場合。
6. 外国人労働者の給与をブラジル人労働者よりも低く給与設定するのは可能ですか?
給与差別があってはなりません。同じ職務を担う場合、給与の平等性の原則を守らなければなりません。
7. 外国人労働者を雇用する際に会社が特に注意するべき事はありますか?
労働者の3分の2以上がブラジル人ではなくてはならないという決まりがあります。つまり、外国人労働者1人に対し、ブラジル人労働者を2人を雇わなければならりません。この比率は給与計算表にも反映されなければなりません。
ブラジル行政府の取り決めによる特殊な事情の場合や、労働省が許可した専門技術者で国内マーケットで不足している労働者の場合、この3分の2の原則が適応されなかったり、これよりも少ない比率が設定されることがあります。
8. 管理職に就任する外国人労働者の場合、どのような規定がありますか?
管理職に就任す外国人労働者の場合、会社は3分の2の原則から除外されますが、次のようなその他の条件に従うことが義務付けられております。
・外国法人からの60万レアル相当額以上の投資。又は、
・投資後2年以内に10人以上のブラジル人従業員の雇用計画がある場合には、15万レアル相当額以上の投資。
9. 管理職の外国人労働者は、Q5で記述されたブラジル人、及び、外国人従業員に保証されている同じ権利が与えられていますか。
管理職の外国人労働者にはこれらの権利は保証されておりません。管理職者の報酬は、Pro Laboreのみになります。
注意書き
今回共有いたしました情報は、あくまでもご参考程度であり、ブラジルの法律で規制された全ての規定や例外が考慮されているわけではございませんのでご了承ください。